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【第1部】 第47話 やっと……①

last update Last Updated: 2025-08-16 19:01:30

 とうとう言っちゃった。

 っていうか気づいたばかりですぐ告白って、軽薄に思われるかな。

 つい最近までヘンリーのこと好きって言ってたんだし。

 信じてもらえる?

 私の心は不安でいっぱいだった。

 龍へ視線を向けると、ぽかんとした表情であっけにとられている彼の姿が目に入る。

 こんな腑抜けた龍、初めて見た。

「りゅ、龍?」

 顔の目の前で、ひらひらと手を振ってみる。

 すると、はっと気づいたような顔をして、龍が私を凝視した。

「そ、それは! 好きとは、あの、家族とか友達とかの好き、ですよね?」

 そうくると思った。

「違う。ちゃんと恋愛感情の好き」

 私がはっきりとした口調で告げると、龍はまた停止する。

 なんだか、さっきから止まったり動いたり……ロボットみたいで面白い。

「なななっ、なんで! なんでいきなり、そんなっ、今まで微塵もそんな風には」

 慌てふためき、取り乱し、しどろもどろな龍。

 そんな龍を落ち着けるように、私は冷静に言い返す。

「だって、しょうがないじゃない。

 私自身ずっと気づいてなかったんだもん。

 最近貴子に言われたり、今回のこともあって、やっと気づけたの。

 ……何よ、龍は私のこと、好きじゃないの?」

 拗ねた表情で問いかけると、龍はおもいきり頭を横にブンブン振った。

「と、とんでもないっ! そ、そ、そんな、こんな夢のような展開が起ころうとは。

 ……驚きすぎて、何て言えばいいか」

 ふと気づけば、龍の顔は真っ赤だった。

「龍、顔赤いよ?」

「はっ! す、すみません。嬉しくて……これは隠すことができませんでした」

 龍は乙女のように顔を手で覆い、下を向いてしまう。

 え? 何この反応。

 この反応はOKってことでいいのかな?

「ねえ、龍&he

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